バスのおばあちゃん
子供達を保育園に送迎するのにバスをよく利用していました。
保育園は一駅先にあるのですが、最寄り駅までは歩いて10分に対して、バス停は3分くらいなので、ついつい歩かなくて済むバス停を選んでしまうのでした。
そのバスの中で、月に数回会うあるおばあちゃんがいました。
80歳を超えていたでしょうか。
背中が少し曲がっていて、笑顔の素敵な方でした。
子供たちのことを可愛がってくださり、いつもバスの中で優しく語りかけてくれ、時には折り紙で作ったお人形をくださいました。
バスを降りた後、娘と手を繋いで歩くこともありました。
子供達もおばあちゃんに会うのが楽しみで、「おばあちゃんいるかなー」とおばあちゃんがいつも乗るバス停を気にしていました。
そんなおばあちゃんをだいぶ見かけなくなって心配していたところ、バスで知り合った、おばあちゃんのお知り合いの方から病気になっているとお聞きしました。
入院して戻ってくるよと子ども達に言っていたのですが、病状はあまり良くならず、退院してお家で療養されていたようです。
あまり歩けなくなっているとお聞きしたのは数ヶ月前でしょうか。
子ども達には「まだ入院しているよ」と言ってほしいというメッセージをお知り合いの方からお聞きしたので、子ども達にはおばあちゃんの状態がかなり悪いという話ができていませんでした。
そして、娘がちょうど4月で小学生になったので、しばらくしてから、お知り合いの方にお願いして、1年生になったよという報告を書いたお手紙をお渡ししました。
そして昨日、娘のお手紙を読んだ1、2日後の7月初旬に亡くなったとお聞きしました。
娘の手紙はとても喜んでくださって、周りにいる皆さんとともに涙を流して読んでくださったとのことでした。
子ども達が以前お渡ししていた手紙などは棺に入れたとも。
なんだか心にぽっかりと穴が空いた気分です。
まだ子ども達には事実を告げていません。どこかのタイミングで伝えて、お墓にお参りに行こうと思います。
おばあちゃん、短いお付き合いでしたが、ありがとうございました。
知らない人に話しかけてはいけないよと子どもに教えなくてはならない時代に、人との繋がりの大切さを教えてもらいました。
バスに載っているわずか十数分で、何度も元気をいただきました。
天国で安らかにお眠りください。